
2025年5月27日(日本時間28日)2025NBAプレーオフ イースタン カンファレンス ファイナル第4戦、ペイサーズホームコートのゲインブリッジ・フィールドハウスは黄色い歓喜に包まれました。
タイリース・ハリバートンが32得点・15アシスト・12リバウンド・ターンオーバー0という史上初の “パーフェクト・トリプルダブル” を達成し、インディアナ・ペイサーズ(IND)がニューヨーク・ニックス(NYK)を130‑121で撃破。
シリーズ成績は3‑1となり、ペイサーズは2000年以来24年ぶりのNBAファイナル進出まで残り1勝に迫りました。

第1Qの43点が主導権を決定付け、最大16点差を築いたペイサーズがそのまま逃げ切った試合。
この結果ペイサーズはNBAファイナル進出に王手をかけた一方で、崖っぷちに立たされたニックスは残りの試合すべてに勝利しなければならないという厳しい状況に追い込まれました。
特筆すべきは、この試合がシリーズで初めてホームチームが勝利を収めた試合であったこと 。それまでの3試合はすべてアウェイチームが勝利しており、このペイサーズのホーム勝利はシリーズの流れにおける重要な転換点となる可能性を秘めています。
ペイサーズがプレッシャーのかかるホームゲームで勝利したことはチームに大きな自信を与えたであろうし、逆にニックスは次戦、マディソン・スクエア・ガーデンでのホームゲームで絶対に負けられないというプレッシャーをさらに強く感じることになるでしょう 。この1勝は、シリーズのパターンを打ち破り、ホームコートアドバンテージがようやく意味を持ち始めたことを示唆しているのかもしれません。
明暗が分かれた2025年NBAプレーオフ、イースタン・カンファレンス・ファイナル第4戦を振り返っていきます。
この記事のポイント
- ハリバートンの偉業
- ペイサーズが勝利を掴んだ理由
- ニックスの敗因
- シリーズ展望
今日の主役は間違いなくこの男!タイリース・ハリバートンが覚醒!

- 歴史的快挙のトリプルダブル!
- ペイサーズ、チーム一丸でニックスを粉砕!
- 勝利の解剖:ペイサーズはいかにして第4戦を支配したか
歴史的快挙のトリプルダブル!

この試合の主役は、間違いなくペイサーズのタイリース・ハリバートンでしょう。彼のパフォーマンスは、単に素晴らしいという言葉では言い表せないほど圧巻であり、プレーオフの歴史に燦然と輝くものとなりました。
そのパフォーマンスはなんと32得点、15アシスト、12リバウンドという驚異的なトリプルダブルを達成! しかも、信じられないことに38分間の出場時間でターンオーバーはゼロ!司令塔として常にボールを保持し、相手の厳しいプレッシャーの中で一度もボールを失わなかったことは、彼の驚異的な集中力と判断力を示しています。 さらに4スティールのおまけつき。ハリバートンにとってはキャリア2度目のポストシーズントリプルダブルとなりました。
ESPNリサーチによると、ポストシーズンで「30得点・15アシスト・10リバウンド以上」を記録し、なおかつ「ターンオーバーゼロ」だった選手は、1977-78シーズン以降、史上初の快挙だそうです! レギュラーシーズンを含めても、過去にはニコラ・ヨキッチ(2023年)とジェームズ・ハーデン(2021年)しか達成していないという、とんでもない記録を打ち立てました。さらに25歳までにポストシーズンでトリプルダブル2回以上のガードはマジック・ジョンソン、ラッセル・ウェストブルック、ジェイソン・キッドに続き史上4人目となりました。
ハリバートンは試合のテンポを完全に支配し、まるで魔法使いのようにパスを繰り出し、勝負どころでは自ら得点。彼がいるだけで、ペイサーズのオフェンスは一段も二段もレベルアップしていました。この大舞台でこれだけの完璧なプレーを見せられるなんて…まさにスーパースターの証明です!
ハリバートンの主なスタッツ
得点 | 32 | FG 23本中11本成功(47.8%) 3FG 12本中5本成功(41.7%) FT 6本中5本成功(83.3%) | ||
リバウンド | 12 | DREB 9 / OREB 3 | ||
アシスト | 15 | ポテンシャルアシスト21回 | ||
スティール | 4 | 速攻直結スティール2本 | ||
ターンオーバー | 0 | PO史上初の30‑15‑10+TOV 0 | ||
TS%(シュート効率性) | 62.4% | 60%超えは高効率 |
ペイサーズ、チーム一丸でニックスを粉砕!

もちろん、ハリバートンだけではありません。ペイサーズはチームとしても素晴らしいパフォーマンスを披露しました。
- パスカル・シアカム: こちらも負けじと30得点の大活躍!ハリバートンとの二枚看板は破壊力抜群。
- オビ・トッピン: 試合終盤には、勝利を決定づける値千金の3ポイントシュート!古巣ニックス相手に強烈な一撃。
- ベネディクト・マサリン:ベンチから12分で20得点とエナジーを注入。
- マイルズ・ターナー:ドロップディフェンスでブランソンのプルアップ3を抑止。
- アーロン・ニスミス:足首の捻挫からの復帰後も持ち前のパフォーマンスを発揮。相手エースをスローダウンする役割でも貢献。
両チームの攻防の差は、以下のスタッツにも如実に表れています。スタッツで振り返るペイサーズの強さ(第4戦)
スタッツ | ニューヨーク・ニックス | インディアナ・ペイサーズ |
FG (成功数-試投数, %) | 38-82 (46.3) | 45-88 (51.1) |
3PT (成功数-試投数, %) | 12-28 (42.9) | 13-32 (40.6) |
ターンオーバー | 17 | 11 |
ターンオーバーからの得点 | 9 | 20 |
ファストブレイクポイント | 9 | 22 |
ペイント内得点 | 44 | 50 |
オフェンスレーティング | 118.9 | 125.5 |
特に注目すべきはターンオーバーからの得点。ニックスが相手の11個のターンオーバーから奪えた得点は9点だったのに対し、ペイサーズはニックスのミスを見逃さず20点を奪取!この差が勝敗に大きく影響しました。さらに、ファストブレイクポイントでも22対9とペイサーズが圧倒。ボールを奪ってからの速攻は、見ていて爽快でしたね!チーム全員がディフェンスに集中して取り組んだ結果だと言えます。
あるファンは「ペイサーズのボールムーブメントは見ていて本当に楽しい!」とコメントしていましたが、まさにその通り。流れるような連携から次々と得点が生まれる様は、ニックスディフェンスにとって悪夢だったでしょう。
勝利の解剖:ペイサーズはいかにして第4戦を支配したか

ペイサーズのゲームプランはウェアダウンと消耗戦、48分間を通して相手を消耗させることを狙っています。ハイペースなトランジションから相手の体力を消耗させる速攻を多用します。
実際に体力を削られた相手のエースであるブランソンは重要な局面で得点できず、第4クォーターではわずか2得点。しかも得点できたのは勝負が決まった後の残り16秒でのタイミングでした。
特にこのシリーズで最も警戒すべきブランソンをより追い込むために、ミスマッチハントの セットプレイを採用。ビークディフェンダーを絡めたダブルドラッグからハリバートンがアドバンテージを奪い、シューターのネミスミスへのオプション展開やエリアスクリーンも駆使します。
さらに第1クォーターから10人ローテーションを採用し、ベンチメンバーも活用することでシステムの強度を保っています。
そしてやはり特筆すべきは覚醒したハリバートンが第1クォーターから凄まじい活躍を見せ、早くも15ポイント、6アシストをマーク。シューターが打ちやすいパスを配給し、相棒のシアカムもそれに答えてシュートを決めていきます。ペイサーズは第3戦で3ポイントシュートが25本中わずか5本成功という不振だったことを考えると 、効果的なパス回しが功を奏し、この試合での成功率は復調の兆しと言えるでしょう。
一方でリバウンドではニックスが総数で44対33、特にオフェンスリバウンドでは13対5とペイサーズを大きく上回りました 。通常であれば、これはセカンドチャンスポイントの増加やポゼッションゲームの支配につながるはずです。しかし、ペイサーズは他のエリア(FG成功率の高さ、ターンオーバーの少なさ、ターンオーバーからの得点やファストブレイクポイントの多さ)でこの不利を相殺しました。これは、ニックスがリバウンドで得た追加のポゼッションを効果的に得点に結びつけられなかったか、あるいは他の場面でボールを不用意に失いすぎたことを示唆しています。一つのスタッツで優位に立っても、他のエリアが弱ければ成功が保証されないという、バスケットボールの奥深さを示す結果となりました。
ハリバートンの覚醒は続くのか?ニックスは奇跡を起こせるか?

- ニックス、崖っぷち…ブランソン奮闘も及ばず
- ニックスが勝利を逃した要因
- 今後の展望:ファイナルまであと1勝のペイサーズ、崖っぷちのニックス
- 【2025NBAプレーオフ】ハリバートン覚醒!ニックス崖っぷちの総括
ニックス、崖っぷち…ブランソン奮闘も及ばず

一方、敗れたニックス。大黒柱のジェイレン・ブランソンはチームハイの31得点と奮闘。カール=アンソニー・タウンズも24得点、12リバウンドのダブルダブル、OG・アヌノビーも22得点と続きましたが、ペイサーズの勢いを止めることはできませんでした。
ニューヨーク・ニックス 主要選手スタッツ(第4戦)
選手名 | 得点 | REB | AST | FG (成功-試投) | 3PT (成功-試投) | TO |
ブランソン | 31 | 2 | 5 | 9-19 | 2-6 | 3 |
タウンズ | 24 | 12 | 3 | 8-15 | 1-2 | 2 |
アヌノビー | 22 | 4 | 1 | 7-16 | 1-7 | 2 |
ニックスはオフェンスでネミスミスを捕まえようとするも、ツインタワー(スモールプレイヤーとビッグマンが混ざり合う2枚のスクリーン)の攻防に翻弄されてしまいます。
ブランソンの31得点は個人として素晴らしい数字ですが、チームオフェンスが彼に過度に依存している側面も否めません。ハリバートンと比較すると気になるのはアシストの数でしょうか。特にプレッシャーのかかる場面で彼の個人技に頼る傾向が強まると、ペイサーズのような守備の良いチーム(特にネムハードのようなディフェンダーやスティールを狙うハリバートンがいる場合)にとっては、オフェンスを読みやすく、崩しやすくなります。
ニックスが勝利を逃した要因

第3戦では見事な逆転勝利を収めたニックスでしたが、この日はターンオーバーの多さ(17個)が響きました。ペイサーズの戦略に対抗するためにニックスも前半から10人ローテーションを採用し、ペースの消耗戦に対抗しようとするも、レギュラーシーズンで試していない影響か、主力プレイヤーとの噛み合わない部分が出てしまいます。またディフェンスエラーも多く、ペイサーズに50%を超えるフィールドゴール成功率を許してしまったディフェンスも課題が残ります。
また、エースのブランソンは消耗戦に備えて特に前半戦は休憩できた収穫はあったが、相手エースのハリバートンを乗せるきっかけを作ってしまいました。ミッチェル・ロビンソンの圧倒的なフィジカルで、ペイサーズのチームディフェンスが壊れる時間帯もあったが、そのロビンソンが痛恨のファウルを犯しベンチに下がるとワンビッグとなったタウンズがハリバートンのターゲットとなる展開になりました。
ブランソンもミスマッチハントに対してショートショーやスイッチを使い分け対応しようとするが、より体力を奪われていきました。
さらに心配なのは、第4クォーター終盤にカール=アンソニー・タウンズが左膝を負傷したこと。最後までプレーを続けましたが、次戦への影響が懸念されます。インサイドの得点力やリバウンドでの貢献が大きい彼が万全でない場合、ニックスは攻守両面で大きな痛手を負う可能性があります。
このようにニックスはペイサーズに2大エースを消耗させられる戦略にはまり勝利を逃してしまいました。
今後の展望:ファイナルまであと1勝のペイサーズ、崖っぷちのニックス

これでシリーズは3勝1敗となり、ペイサーズが2000年以来となるNBAファイナル進出まで、あと1勝と迫りました! ハリバートンの覚醒、そしてチーム全体の安定感を見ていると、今のペイサーズの勢いは本物です。
もしペイサーズがこのシリーズを制すれば、特にハリバートンがこのレベルのパフォーマンスを維持してファイナルに進出した場合、彼らは単なる東の代表としてだけでなく、厳しいプレーオフシリーズを勝ち抜いてきた真の実力者としてNBAファイナルの舞台に立つことになる。この第4戦のパフォーマンス、ハリバートンの歴史的な夜は、彼らを優れたプレーオフチームから、西のカンファレンス勝者と覇権を争う真の優勝候補へと格上げしたと言えるでしょう。
対するニックスは、まさに崖っぷち。次戦、5月29日(日本時間30日)に本拠地マディソン・スクエア・ガーデンで行われる第5戦から、負けられない戦いが試合が続きます。歴史的に見ても、1勝3敗からの逆転は極めて困難。ニックスがホームで奇跡を起こすには、ブランソン選手の更なる爆発に加え、ディフェンスの立て直し、そして何よりもチーム全体の不屈の精神力が求められるでしょう。しかし、あの熱狂的なMSGのファンの前で、ニックスは意地を見せられるでしょうか?
ロードチームが3連勝していたこのシリーズ、第4戦で初めてホームチームが勝利したという事実は、ニックスにとってわずかな希望の光となるかもしれません。
「インディアナ・ペイサーズはNBAファイナルまであと1勝」
この言葉が、今の状況を全て物語っています。
ペイサーズがこのまま一気に頂点への切符を掴むのか? それともニックスが奇跡の大逆転劇を見せるのか? 次の第5戦も、一瞬たりとも目が離せません!
【2025NBAプレーオフ】ハリバートン覚醒!ニックス崖っぷちの総括
タイリース・ハリバートンの驚異的なパフォーマンスを中心に、ペイサーズがチーム全体でシステムバスケットボールを遂行することでニックスを圧倒した第4戦。
特に、消耗戦を狙ったハイペースな展開、ミスマッチを突くオフェンス、そして全員がハードワークする姿勢がペイサーズの強さの源泉であると言えます。
ハリバートンの歴史的なスタッツは、彼の個人能力の高さに加え、ペイサーズのシステムが彼を最大限に活かしていることを示唆しているでしょう。
この勝利により、ペイサーズは2025NBAファイナル進出に王手をかけました。
- ハリバートンが覚醒!POで史上初のトリプルダブル+ターンオーバー0を記録
- ペイサーズがNBAファイナルに王手
- ペイサーズがチーム全体でシステムバスケットボールを遂行
- 消耗戦を狙ったハイペースな展開、ミスマッチを突くオフェンス
- ニックスは不慣れな10人ローテーションで墓穴
- タウンズの左膝を負傷